ライブハウスのどこで聴くか、位置の話

前回「ライブハウスに入場したら〜Zepp編〜」という記事を書いた。入場してから客席に行くまでの話だ。
今回は客席のどのポジションで聴くかについて書こうと思う。
ライブハウスのどの場所で聴くかというのは命題だ。不本意ながら、私は背が高い方ではない。それゆえ、場所取りはかなり重大な問題となってくる。
ただ音楽を聴きたいなら、家で聴いていた方が快適だ。それでもライブに行くのは、そこでしか聴けない音があるからだ。大好きなバンドが、大好きな曲を目の前で演奏するという奇跡みたいな夜があり、そこでしか味わうことの出来ない幸せがあるからだ。
演奏している姿を観るのは、純粋にすごく楽しい。できるだけ見やすい位置に行きたい。

では具体的にそれぞれの位置について話していこう。基本的にステージに近い位置の話をしている。
まず、フロントマンの真ん前はよほど整理番号が良くなければ避けたい。真っ正面は逆に観づらいので、すこし横にずれた位置の方が、個人的にはおすすめだ。もし最前ブロックに入れたとして、真っ正面だと、左右の演奏者を観るとき、首をひねらないと見えないことが多い。視野に入らないと、キョロキョロしないといけない可能性があるのだ。ライブ中ずっとそんな様子だと、疲れてしまう。フロントマンしか観なくてもよい、と割り切ってしまうなら、それも良いだろう。ただ、ギタリスト、ベーシスト、キーボーディストに注目していると面白い瞬間があるのも確かである。

中央はモッシュ(押し合いへし合い)があった場合、一番力が加わる地点なので、かなり厳しい環境だ。ただ、アジカンのZepp公演に行ったとき、最前の真ん中より少し右(上手)で聴いたが、そのときは全く押されることがなかったので、バンドと客層にもよる。「アジカンの“ホームタウン”ツアーに行ってライブハウスのライブを思い出したこと」で書いたように、最前ブロックの半端な位置にいるより、実は最前の方が圧がないこともある。ちなみに、モッシュがあるのは大抵会場半分より前の地点だ。後ろの人々はスペースを取って、特に押したりもせず観ていることが多い。

BUMP、スピッツのZepp公演の前方では、かなりの圧縮が起こった。また、フジも時と場合によりモッシュのような圧縮が発生することがある。ただ、起こったとしても8列目くらいまでの感触だった。狙うべきはこの地点なのだ。モッシュと、距離を保って聴きたい人の間に空間が出来る。この狭間の最前線に行くのが、会場最前列の次にベストだと思う。そもそも最前に行けるかは整理番号の運なので、私は基本この狭間を狙う方針だ。Zeppでも、仕切られたブロック内ではこの方針で居場所を探す。人との距離が開いてると、視界が全然違うのだ。アジカンのゴッチも言っていたが、一歩下がってみると見やすくなることが結構あるのだ。この一歩下がる、は後ろのエリアにいても結構使える。とはいえ、自分の後ろにいる人への配慮は必要だが。
一方で、後方に段差のある会場ならば、その最前を狙うのも手だ。その地点の一番前で観ることが出来れば、よほど激しいライブでない限りモッシュに巻き込まれることもない。前にめちゃめちゃ背の高い人が来なければ、視界も良好で聴きやすい場所だ。ただ、以前書いたとおり、封鎖されていたら入れないスペースでもある。

私の場合、どのポジションを取るかは整理番号によって考える。Zeppで100番前後だったら安全を取って、後方の段差最前で、頭ひとつ分のアドバンテージを取る。ただ、入場した瞬間最前フロアのそのまた最前があいていたら、そこに吸い寄せられてしまうかもしれない。しかし、ステージ端の左右はスピーカーの真ん前になるかもしれないので、注意が必要だ。なかなか聴く場所としては厳しい環境だからだ。この場所ならば、音楽用の耳栓をした方が良い。
スタンディングは入った瞬間、どの場所で聴くかを瞬時に判断しないと、どんどん人で埋まっていく。でも、だ。最初の心持ちは、音楽が聴ければ良い、と思っていれば、幾分か気が楽だ。良い位置で聴けたライブが必ずしも、自分のなかでも特別中の特別、となるわけでもないのが不思議だ。そして、自分の周辺の人々にも、ライブのよしあしは委ねられる部分がある。
だからこそ、私は善き観客でありたいなあ、と思う。

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