遠征して終電に乗り損ねた話

前回は、遠征と交通手段の話をした。今回は実際、体験したことについのお話である。

あれは遠征に行きはじめて間もない頃のことだった。
会場は東京国際フォーラムで、アジカンの出るイベントがあり、それに参加したのだ。新幹線往復切符を手に、意気揚々と国際フォーラム、ホールAへ友人と向かった。日帰りの予定で、地方から東京へやって来たのだ。18時開演なら帰ることができるだろうと思って・・・・・・。
余談だが、私は国際フォーラム地下一階にあるロビーギャラリーがお気に入りだ。感覚がおかしくなるような広さとガラスと構造物にうっとりとしてしまう。
さて、話をあの日に戻す。そのイベントは各国のアーティストが出るフェスだった。どの音楽も魅力的で、とても良かった。国際フォーラムは音響も良い。そして、トリがアジカンだった。その後のアンコールには出演者全員が登場し、素敵な音楽を聴かせてくれた。私と友人は、ほくほくと満足げに帰路に着いた。時間は22時を過ぎていた。
外に出る。東京駅へ行く。なんだか暗い気がする。案内板を観る。あれ。もう帰りの新幹線が存在していない。漫画だったら顔に縦線が入っているところだ。
びっくりした。友人と私は人気のない新幹線口で突っ立っていた。
じわじわと状況を飲み込み、途方にくれて街へ出た。とりあえずどこかに避難しよう、と友人と話し合っていたところ、パラパラと雨が降ってきた。いよいよ絶望感が肥大化した。
グーグルマップを頼りに、どこか落ち着いて座れる場所はないかと足早で歩くと、暗い街に煌々と輝くジョナサンが目に入った。
その光はどれだけ我々の心を照らしてくれたことか。ホッとしてジョナサンに逃げ込んだ。店内に入るとまあまあ人がいて、これまたびっくりした。友人と向かい合わせに座り、今後どうするかを相談する。その結果、ジョナサンで夜を明かし、始発の新幹線で帰るという結論に至った。それからはドリンクバーで入れてきた抹茶ラテ片手にフライドポテトを食べながら、友人と色んな話をした。交互に寝たりもした。一番困ったのは、モバイルバッテリーを忘れてしまったことだった。痛恨のミステイクだ。iPhoneはギリギリの状態だった。
周りを見ると、サラリーマンが机に突っ伏し寝ている。老人が座っている。大学生らしき人々が談笑している。
こんなド深夜でも、席が埋まっているなんて、東京はヤバイ街だなあと思った。
ドリンクバーとフライドポテトと深夜料金。ひとり千円程度の夜。日の沈んだ街にぽかりと光るファミレス。
なんとかなるもんだなあと思った。

この気持ちは今でも持ち続けている。というかこの出来事以降、まあまあトラウマにもなり、帰りを乗り逃したことはほとんどない。いや、1、2回はあったかもしれない。終電に飛び乗ったり、家に着くのは深夜1時、または午前4時(夜行バス)なんてこともあったけど。
ただ、確かにしんどい目には遭ったが、このジョナサンの夜は今でも友達との語り草になる思い出でもあるのだ。思い出すと、マヌケだなあと頬が緩む。
ああ、でも、この経験で一番学んだのは、当日限りの特急券代ウン千円は戻ってこないってことだった。今でも思い出すと、少ししょっぱい気持ちになる勉強料だ。

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