これはあるひとりのリスナーが歩んだ、音楽と生活する話である。
音楽を持ち運ぶことに、小さな頃からずっと憧れがあった。最初、音楽を聴いていた媒体は、親から借りて次第に自分のものに占有していったラジカセとカセットプレイヤーだった。ラジカセはラジオを受信するアンテナが折れてしまったし、カセットプレイヤーのイヤフォンはいつも調子悪い100均のものを使っていた。それでも、音楽がそばにある毎日は私にとってとても大切なものだったと思う。今でもカセットを作ったこと、MDを作ったことを思い出すと、当時のワクワク感を思い出す。
いつしかラジカセはCDを読み込まなくなり、カセットテープからMDへ、そしてCDからデータを読み込み、別の媒体で音楽を聴くようになっていた。
最初は携帯電話に音楽を入れていた。充電器兼スピーカーになる、音楽を売りにした携帯だった。しばらくしiPhoneへ機種変更したのを機に、音楽を管理するソフトはiTunesになった。iPhoneには、いつも特にお気に入りの曲が数十曲入っていて、家にいる間、どこに移動するにも何をやるにも音楽を流している。
ある日、バイトしたお金で、ipod nanoを買った。購入してから今に至るまで使い続けているが、長年容量はパンパンで、厳選した曲が数百曲入っている。経年劣化なのか、調子があまりよろしくない。iPhoneが充電中のときなどは、このipodにフジファブリックモバイル会員限定グッズのBluetoothスピーカーを繋げて持ち運んでいる。お風呂などに最適だ。あと、ラジオを聴くときなどにも使っている。
自室では、パソコンとコンポをBluetoothで繋いで聴いている。コンポはラジカセが調子悪くなったころに買ったものだ。音質も値段のわりに良くて気に入っている。何よりiTunesに入った膨大な曲を好きなように、スピーカーから聴けるというのが嬉しい。音楽データは積もり積もると容量がすごいことになるので、外付けで対応している。曲入れ放題である。
容量問題を解決する方法としては、サブスクリプションがある。Spotifyを入れているが、無料の機能しか使っていない。というか、現状ほぼ使っていない。気質がコレクターなので、データすら持っていたいという気持ちが奥底にあるのかもしれない。現状に満足できなくなったら使いはじめると思うが、CDがリリースされる間はそんなに出番がないだろうなと思う。
それでもまだまだ欲しいものがある。欲望が深い。レコードプレイヤーとテレビ用のスピーカーが欲しい。レコードは結構集めているのに、プレイヤーがないのである。アジカンモデルのを購入すればよかったなあと思わないでもない。スピッツのも良かった。BUMP、フジあたりがグッズで出してくれないだろうか。あと、ライブ映像を観るとき、テレビの音だと満足できない、もっといい音で聴きたい。音楽環境は人によって全然違うのだろうなと思うと面白い。
【今日の曲】
the chef cooks me「最新世界心心相印 (New Feeling)」『Feeling』(2019年)
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