久々にプラネタリウムへ行った話

BGMはBUMP OF CHICKENのプラネタリウムでどうぞ。

小学生の頃、プラネタリウムを観るのが好きだった。暗い空間で煌めく星、アニメキャラが説明してくれる現象、解説の意味はよく分からなかったが、日常と離れた空間が好きだった。50円くらいで入れた記憶がある。科学館に併設された施設だったが、この場所に来るたび、時間が合えばプラネタリウムを楽しんだものだった。
科学館には綺麗な石が沢山あった。自転車を漕ぐと発電できる装置があった。洞窟みたいな展示室があった。今思えばずいぶんとワクワクの詰まった場所だったんだと思う。そしてプラネタリウムだ。田舎とはいえ、街灯ひしめく場所に住んでいたから、ろくに星へ思いを馳せる経験もなかった。だから、うえをぼんやり見上げて、ただ煌めく星を眺める行為は特別だったのだ。それが例え投影された映像だとしても、私にとっては本物と一緒だった。

さて、それから幾ばくか経ち、背もだいぶ伸びた頃、池袋に行く機会があり、友人とプラネタリウムを観に行った。窓口で料金を支払い、チケットを買う。プラネタリウムってこんなするんか、と思った。待っている間、友人と他愛もない会話する。友人は「この前プラネタリウム行ったとき、めっちゃ寝た」という話をしていた。私は、そんな馬鹿な、と思った。こんな高いお金払っておいて、寝ることはないだろうわはは、なんて思っていた。映画でも寝たことがないので、大丈夫だと妙な自信があった。
いよいよ入場だ。混んでいる空間に足を踏み入れる。
シートに座り、ほっと息をついた。その日は、ライブに行った翌日で、なおかつ散々歩いた後だったので、プラネタリウムの椅子はひどく心地よかった。

感じの良い音楽が流れ、いよいよ上映がはじまる。どんな素敵な光景が見れるんだろうと心が躍った。プラネタリウムは、青空の映像からはじまった。雄大な景色の後ろで、芸能人がナレーションをし、風景の解説をしている。星空はまだ映らない。どこかの自然の話だったと思う。ここから私の記憶は酷く朧気だ。

寝た。
ひくほど寝た。
星空にすら辿り着けなかった。

何度か寝ちゃダメだ、と意識を振り起こした気がするが、不思議と星空の記憶が一切ない。
私は何を観に行ったのだろう。

ああ、大人になってしまったんだな、としょんぼりしながら空間を後にした。友人もめちゃめちゃ寝たと言っていた。ばかにしてごめん、と謝った。友人はどこか得意げな顔をしていた。

どうか、いつか、疲れた大人たちも、星空に辿り着けますように。

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