新刊をずっと待っていた漫画『銀の匙 Silver Spoon』(荒川弘、小学館)の最終巻が、最近発売された。
全15巻なので、手に取るとしてもそこまでハードルが高くない。
あらすじを簡単に紹介すると、受験に失敗した主人公が農業高校に入学し、これまで持っていた自らの常識を覆すような体験をしていく話だ。
なるべく最終巻のネタバレにならないよう、オススメな点などを綴っていこうと思う。
率直な感想は終わってしまうのは寂しいが、どう高校生活を終えたかを見届けることができて面白かったということだ。1巻からは想像もつかない着地点で、これだから物語を読むのは面白いんだ、と感じた。
ちなみに『銀の匙』は、アニメ化もされており、第2期のオープニング曲はフジファブリックが担当していたのだ。また、『銀の匙』の作者 荒川先生は『鋼の錬金術師』を描いていた。そして『鋼の錬金術師』のアニメでオープニングテーマ「リライト」を歌っているのは、ご存知アジカンである。こんなところにも音楽世界の繋がりを(強引に)感じてちょっと嬉しくなるのであった。
『銀の匙』に話を戻そう。
この作品を読んでいて与えて貰ったものはたくさんあるが、そのひとつが価値観だ。作者が農業高校出身ということもあってか、読んでいてドンドン農業高を身近に感じられるようになっていった。あくまで創作物とはいえ、知らなかった世界を垣間見るのは新鮮で楽しい。農業、畜産、その周辺にある事業やそこで働く人々、農業高校そのものの日々など、大変なことが伝わってくる一方、好奇心も疼いた。
学生ならではの脳天気さと現実に直面したときのひたむきさ、コメディとシリアスの配分も絶妙で、そういう生活もあるんだなあと目から鱗がたくさん落ちた。この漫画を読むと、農業高校に通ってみたくなる。自分の食べるものを自分で作れる力、というのは憧れている能力のひとつだと、この作品を読んでいて実感した。
こんな経験をしたことがないだろうか? 懸命に何かをしようとしている人を見ると、自分も頑張ろう、と鼓舞されることが。この漫画を読んできて、やる気が沸き立ったことが何度もあった。『銀の匙』は展開にワクワクしながら、農業の一端も垣間見ることができ、自分を変える手がかりが散りばめられた、オススメの1冊なのだ。
フジが主題歌をやった時期(第2期)のアニメは、以下のリンクだ。
【今日の曲】
フジファブリック「LIFE」『LIFE』(2014年)
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