触発の漫画『乙女文藝ハッカソン』

今日は、面白いな〜と思った作品を紹介する回だ。書籍関係の記事はこちらのカテゴリーに入っている。
極力、ネタバレを書かずに紹介するつもりだ。また、私は漫画にめちゃめちゃ詳しいというわけではないので、こういうところが面白いと思った! という感じで書いていく。

さて、前置きが少し長くなってしまったが、今回は『乙女文藝ハッカソン』(以下『乙女文藝』)という漫画について書こうと思う。著者は山田しいた先生で、講談社から発売されている。
この作品と出会ったきっかけは、SNSだった。1巻が出てしばらくした後、ふと見かけて無性に気になったのだ。

内容をざっくり書く。
大学生たちが小説を執筆するという話だ。小説を書く行為のイメージと言われれば、机、または電子機器へ孤独に黙々とむかう様子が思い浮かぶ。しかし、この作品では、チームで小説を執筆することが主眼に置かれている。

読み終わった後、ワクワクした気持ちがうずいた。
『乙女文藝』は、私にとって、触発の漫画だったのだ。この作品を読んだあと、無性に小説を読みたくなったり、書きたくなったりしたのである。そうやって感情や意思を動かしてくれる作品が大好きだ。

主人公は執筆初心者という状態から、物語は開始する。多くの人は、きっと、主人公と同じ、右も左も分からない状態で読み進めることになるだろう。そして、主人公のまわりを囲むのは、日々文章を綴ってきた先輩や同級生たちだ。その人々と関わりあい、色々な知識が漫画のなかに渦巻く。別作品の細かなネタもたくさん盛り込まれており、ああ、あの作品の、と笑いがこぼれるのも楽しい。また、小説を書く上での、物語の構造にも言及されており、へーそうなんだ! と興味深い点がいくつもあった。絵柄も個性的でクセになる。

作中で「小説の内容」を描く場面があるのも印象的だった。メディアミックスによる「小説原作の漫画」という形はよく見かけるが、『乙女文藝』で描かれているのは「文字表現」を「漫画」で表わすということなのだ。そりゃ漫画なんだから絵があるのは当然、と思うかもしれない。ただ、ここで言いたいのは、プロットや小説の内容を「絵」にすることによって、各登場人物にある文章力の差異を「文」そのもので書かなくても良い、という点だ。その構造に、なるほどなあ、と思った。作品の中に出てくる登場人物のアイデアも面白い。彼女たちの書いた小説を読んでみたい。

『乙女文藝』を見ていると、次から次へと創作物を手に取りたくなる。知識が欲しくなる。また、登場人物がスマホやパソコン、ポメラに向かって文章を打ち込んでいる姿を見ると、自分もやってみたいような気持ちが湧き上がる。
最近、最終巻が出て、全3巻となった。既刊を何度も読み返していたし、3巻もまた、何度も読み返すだろう。いつか、いつか彼女らのその後を見たいと願っている。
そして、こんな面白い作品に出会えて幸せだな、とも思ったのであった。

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