2006年『ファンクラブ』期までのゴッチを知る本『ゴッチ語録』

『ゴッチ語録』(ぴあ、2006年)という本がある。これは「ぴあ」で連載していたコラムを単行本化したものである。この本の後続として『ゴッチ語録 A to Z』があり、現在、この2冊をまとめた『ゴッチ語録 決定版』という書籍が出版されている。
今回は、2006年に発売された『ゴッチ語録』を読み返した所感を書く。

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『ゴッチ語録』(2006年)の概要とおすすめ回

本のサイズはA5より小さいサイズのソフトカバーだ。
内容は、五十音順で音楽その他諸々をゴッチが語るというものである。書き下ろしや対談も収録されており、これもまた読み応えがある。

「まえがき」を読んでいて思ったが、ゴッチは文章を書くのが上手い。さすがは常々日記を書いて世に出していただけあると、どこから目線? なことを思ったが、もちろん文章の質感は日記とは異なっている。
最初の文字はもちろん「あ」からだ。そしてこれまた、もちろん彼のバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの話からはじまる。音楽の話中心に書かれているが、なかには毛色の違った話も出て来て面白い。本に出て来た音源を聴きながら読むのも一興だろう。
個人的に読みながら気になったことは、文中で建さんは喜多、山さんは山田なのに、潔だけ潔って書いてるのになんか笑った。あと100sが出てきて血が沸騰した。一瞬だったけど。
好きな回、あるいは個人的おすすめ回は、「い」「お」「け」「さ」「し」「ら」「わ」だ。書き下ろしの「つ」も好きだ。
当時までのゴッチの音楽遍歴、ルーツ、何に影響を受けたか、そして何を思っているかなど、この本を読むと色んなことが伝わってきて、とても面白かった。連載の締め方も見事で唸ってしまった。なんて丁度良いバンド名なんだ。うまくてズルいぞ。

アジカンメンバーとの対談も収録

対談もすごく愉快だ。アジカンメンバーそれぞれがゴッチに音源をすすめるという形で行われているのだが、ただの文字が並んだだけでこうもちゃんと各人の個性や関係性が出るって、文章は本当に面白いなあと思った。
ゴッチと建さんはテンション高めだ。軽やかでコント見てるみたいなテンポの良さと面白さがある。愉快なエピソードも飛び出していて吹き出してしまった。建さんをまるでつねるようなゴッチの反応も面白い。
それに対比するように、ゴッチと山さん回は穏やかで落ち着きがある。多分選曲もそんな感じなんじゃないかなあ、と勝手に思っている。会話が建設的。
ゴッチと潔は、テンションがばかっぽくて楽天的なところが良い。潔の軽さのなせる技か。絶妙な噛み合わなさと、噛み合ったときの盛り上がりが微笑ましい。
最後にそれぞれのメンバーが好きな音楽を言語化しているところが、さすがゴッチだった。
この本の挿絵を担当していた山本さんとの対談も面白かった。絵と音楽、表現するという行為で通じるところがあるんだろうな、と思った。

そんな気負わずに読むことの出来る本だ。今のゴッチを知っているからこそ、感動する部分もある。アジカンをよく知ることの出来る1冊でもあるのでおすすめだ。

【今日の曲】
くるり「ハイウェイ (Alternative)」『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)

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