私には正直な友人がいる。その人は面白い作品は面白いと褒め、それほどの作品はそれほどだったとそのままの言葉で表す。そんな真っ直ぐな友人だ。
その友人が、「『ボヘミアン・ラプソディ』面白かった! 泣いた!」と言っていた。それを聞いた私は『ボヘミアン・ラプソディ』を観たいなあと思ったのだった。そして、追い打ちをかけるように、映画を観たバンドマンたちがこぞって『ボヘミアン・ラプソディ』の話をしていた。アジカンの山さんに建さん*¹やMrs. GREEN APPLE*²は5人で観に行ったそうだ。
そしていよいよ、私も正月に観に行ったのだ。それも数年ぶりの家族総出で映画館、観るのは『ボヘミアン・ラプソディ』という不思議な時間だった。
結論から言う、とっっっても良かった。泣いた。映画館から出た我が家族全員、赤い目をしていた。
どこが良かったんだろう。振り返ってみる。
ひとつめ、まず、私はQueenをよく知らない。曲名とか全然知らない。あのヒゲで白いタンクトップの人?という認識のみで映画を観た。
聴いたことのある曲めっちゃ流れた。えっ、これQueenなんだ! と驚いた。何より曲が良い。ウン十年前の曲とは思えない、色あせない、斬新。そんな印象が残った。そして今も歌い継がれている。単純にすごいな、と思った。
ふたつめ、編集がすごい。映画を観て、事実は小説よりも奇なりと思った。でも、映画で描写されたシーンは、多分起こった出来事の一端でしかなかったと思う。ずっと色んなバンドを見守ってきたから、なんとなくだけれど分かる。もっともっと、きっと色んな事が起こっている。でも、エピソードは削ぎ落とされ洗練されていた。最後のライブの場面は圧巻だった。これについてはみっつめで話したい。ともあれ、余計で冗長なシーンはひとつもなく、そこが良かった。
みっつめ、最後のライブシーン。家に帰ってすぐ、熱に浮かされたまま実際のライブ映像を見た。そのまんまだった。まず役者が似ていた。人のいる位置から物の置かれた場所まで一緒だった。胸が熱くなった。
よっつめ、バンドっていいなあと思った。「一般的な」ロックバンドのイメージよりメンバーが仲が良さそうだと思った。親に話してみたら「そうか?」と言われたけれど。色んな人との関係性の描写も良かった。単純な言葉では表せないような、映像で、距離感や会話を見せたからこそ分かる割り切れない距離感が心に残った。
あと猫が可愛かったな。そんな映画でした。映画館で観られて良かった。
(出典:*¹喜多・山田 活動日誌、*²音楽と人)
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