ニューアルバムとアルバムツアーの話

ロックバンドのツアーといえば、リリースツアーにとらわれない形も沢山あるが、真っ先に思い当たるのは、アルバムツアーなのではないだろうか。詳しく言うと、ニューアルバム発売後に行われるツアーのことである。この流れは、どのバンドにも多いと思う。
現在、アルバムツアーでいうと、フジファブリックではFEVERMANツアー、アジカンではホームタウンツアーの真っ最中である。

ニューアルバム発売というのは、いつも心待ちにする出来事である。
袋からCDを取り出す。フィルムを剥ぎCDケースをあける。円盤を取り出し、コンポに入れる。再生ボタンを押す。それは何日も何十日も何百日も心待ちにした瞬間なのである。
そうして出会った音楽が最高なら、これほど舞い上がることもない。
新譜が好きというのは、リスナーとして至上の喜びだ。
そして、その生まれたてのような曲たちが段々人々のものになっていく過程に立ち会えるのがアルバムツアーなのである。これは素晴らしい体験だ。
それと同時に、ニューアルバム発売後のツアーでしか聴くことが出来ないのでは? と思われる曲も存在するのである。そして、そういう曲に限って一番好きで特別だったりするのだ。そう、例えば、BUMPの「ラストワン」とか、アジカンの「Caterpillar/芋虫」とか。また聴きたくても、今のところ希望が見えないのである。

だからこそ、私が待ちわびているのは、アルバムツアーで演奏される滅多にやらない曲、なのである。今までの感触だが、いちツアーでめちゃめちゃ久しぶりに演奏される曲が、1、2曲存在するのだ。それこそ、発売当時のツアーでしか演奏されなかったような曲が。例えばWonder Futureツアーのときの「深呼吸」のように。
ちなみにそもそも滅多にやらない曲枠に、ニューアルバム曲は入ってないのである。これは声を大にして言いたい。もちろん新しい曲も大事に聴く。その一方で、個人的かつ勝手な意見だが、セットリストは滅多にやらない曲が、せめて1曲でも入っていて欲しい。

さて、話が移ろうが、時間というのは面白いものである。何度もやったアルバム曲は、やりはじめたころはそこまで人を熱狂させるものではなかったのに、いつの間にかイントロで歓声が上がったりするようになっているのだ。昔のライブ映像を観ていると特に思う。その当時、発売直後のツアーで演奏されたその曲は、観客が探り探り聴いているその曲は、今では大歓声で迎えられる曲になっているのだと。

アルバム曲をじっくり堪能できる機会は、このツアーでしかないと思うのだ。きっとシングルカットされている曲やタイアップ曲は陽の目を見る機会が多いだろう。それ以外のアルバム曲をたくさん聴ける貴重な機会が、そう、今なのである。
この文章は、つまりは今を大事にしよう、という決意表明みたいなものである。

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