聴き狂っている100sの話をする

100sを初めて知ったとき、なんて読むのか分からなかった。「ひゃくしき」である。100式や「ヒャクエス」という言葉も見たり聞いた覚えがある。人々のなかで表記揺れがあるようだ。

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100sの簡単な紹介

100sとは、中村一義を中心とし、池田貴史、町田昌弘、小野眞一、山口寛雄 、玉田豊夢のメンバーからなる6人のバンドだ。中村一義が出演した夏フェスのバックバンドとして集った人々が正式にバンドを組んだ、という経緯だった。ちなみにレキシのサポート常連、山口寛雄 、玉田豊夢は100sのあたりからのずいぶん長い縁というわけだ。
中村一義名義で『100s』(2002年)というアルバムがリリースされたのち、100sのファーストアルバムがリリースされている。
100s名義のアルバムは3枚ある。これについて『魂の本 ~中村全録~』という本で中村一義は

あるときにバンマスの池ちゃんとラーメン食いながら、「100sどこまで行こうか?」って話をして。それで池ちゃんが「また作ろうよ」って言ったのかな。それで僕は「じゃあ三枚作ろうか」って言って

『魂の本 ~中村全録~』中村一義、2011年、太田出版、p.152

と語っていた。それぞれのメンバーが多忙というのもあるが、ある種明確な意思を持ってこのアルバムたちをリリースしていたというのは、なんだか胸にくるものがある。音源も限られているので、聴きやすいし集めやすいと思う。
曲調としては、中村一義の特徴的な声とバンドサウンドの塊がぶつかってくる感じというのだろうか。個人名義の曲たちよりも、とっつきやすい印象があった。ポップなロックも多い。

おすすめの曲について

現在進行形で聴き狂っている曲について書く。明るい曲中心なのでポップな感じが好きな人には特におすすめだ。ストレートで分かりやすい選曲になっていると思う。ただ、選んだ曲は明るめに偏っているので、100sの魅力はこれだけじゃないと書いておきたい。

「バーストレイン」『OZ』(2005年)
イントロが特に印象的な1曲。ギターのリフとドラムが最高なのだ。どちらかといえばシンプルで明るい曲調だが、ある種の切実さも感じられてグッとくる。ロックの良さがとても詰まっていると思う。BUMPの「ラストワン」が好きな人に聴いてみて欲しい。精神的な部分で少し通じる部分がある気がする。
『OZ』では「いきるもの」という曲もめちゃめちゃ聴いている。中村一義の明るいロックが大好きなのだ。

「つたえるよ」『ALL!!!!!!』(2007年)
これも中村一義の明るい曲。Aメロの音数がシンプルな分、色んなものが心にすっと入ってくる。歌詞はどこか記号的で、方程式を解くような淡々と、その一方で感情を揺さぶるものがあって、響きが面白い。裏声も印象的な楽曲だ。
『ALL!!!!!!』は「ももとせ」みたいな泣かせるロックもいい。

「魔法を信じ続けているかい?」『世界のフラワーロード』(2009年)
イントロでこの曲に心の底から惚れた。聴いた瞬間、ああだから私は池ちゃんの弾く鍵盤が大好きなんだ、と心底思った1曲。
なんて歌っているかパッと聴くだけじゃ分からんさも含めて、この曲には不思議な魔法が込められている感じがして良い。ふわふわ上昇していく感覚のある曲だと思う。
ちなみに「魔法を信じ続けているかい?」のなかには、「金字塔」「太陽」「イーラ」「100s」「オール」「オズ」など随所に以前の作品のモチーフが出てくる。
また中村一義の曲に「魔法を信じ続けるかい?」(『金字塔』収録、1997年)があり、2013年には「魔法をかけてやる!!」という曲が制作されている。
『世界のフラワーロード』のジャケットが撮影された場所へ巡礼しに行くのが夢だ。このアルバムだと「モノアイ」もよく聴いている。

100sには、バンドであるのことの喜びみたいなものが詰まっていると思う。ライブに行きたかった。ライブに行ってみたかったなあ、と思う。

余談だが、100sにどっぷり浸かった後、改めてレキシの「真田記念日」を聴くと、めちゃめちゃ感慨深くなる。この話はまたの機会に書こうと思う。

認識が変わると聴こえ方も変化する話
レキシの名曲「真田記念日」を通して感じた認識の変化について書きました。

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