歌詞から語句を抽出して、どの言葉がどれくらいの頻度で出てくるのかな、ということに興味があった。
そして、アジカンとGotchのソロの違いはもちろん分かっているけど、同じ人が歌詞を書いてても、バンドとソロじゃ使う語句って違ってくるのだろうか、というのにも興味が出てきた。
ということで、今回はアジカンの歌詞とGotchソロをテキストマイニングしてみることにした。アジカンは歌ネットに情報のある160曲(『ダイアローグ / 触れたい 確かめたい』まで)、Gotchのソロは31曲(アルバム1、2と歌詞が分かる範囲の曲)で行っている。
前提:テキストマイニングの概要ともろもろ
やり方は以下の通りだ。
①抽出したいアーティストの歌詞をLyrics Master 2でテキストファイル化する
②テキストファイルを一括で結合する
③KH Coderを使って語句を抽出する
動詞は、例えば「消える」の場合、「消える」だけでなく「消えた」や「消えろ」などの活用形も含めて集計している。
また、指定しないと抽出されない語句があるため、「君」「僕」「俺」「私」「誰」「彼」を強制抽出している。
ちなみに「彼」は「彼女」と「彼方」も一緒に抽出してしまうので、詳細を確認し、それぞれ分けてカウントした。
たびたび手作業が入っているので、多分どこかしらミスがある。趣味の延長の産物くらいで見て欲しい。
もっと詳しい手順については別の記事にまとめることにする。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの歌詞をテキストマイニング(160曲)
抽出を行う前に、アジカンの歌詞で多そうな語句10個を予想してみた。
僕 君 軋んだ 歪んだ 夜 深い 青 光る 闇 日々
では結果を見てみよう。
黄色が予想10単語で、水色でマークしたのが個人的に特にアジカンぽいよな~と思った単語だ。
「軋んだ」「歪んだ」入ってないの!?と思って詳細をみたら、「軋んだ(む・み)」は5回だったし、「歪んだ(む)」は12回だった。
振り返ってみれば予想10単語が、それアンダースタンドって感じの語句チョイスである。好きすぎだろ。
TOP10単語は「君」「僕」「心」「日々」「誰」「夜」「いつか」「消える」「世界」「夢」だ。確かにこれだけでアジカンっぽい。
しいて言うなら、「夢」がそんな出てくる印象がなかったが、「夢」の出てくる歌詞の詳細を見たら、覚めたり、届かなかったり、夢も希望もなかったり、壊したりする歌詞だったので面白かった。
ちなみに、余談だが、フジファブリックのTOP10単語は「君」「僕」「見る」「手」「行く」「街」「今」「言う」「夢」「空」だ。バンドごとに雰囲気が違って、歌詞って良いなと思った。
アジカンの歌詞の印象として、「底抜けの明るさ」はないと思っている。しかし、頻出語だけ取り出してみると、ポジティブな単語も結構あって、それなのにどこか結局現実的で儚げなのが興味深かった。ここで伝えたい「儚げ」というのは、おしとやか的で触れると壊れる的なニュアンスではなく、何でもいつかは終わるというニュアンスだ。
そして、当たり前のことだが、やっぱ歌詞は単語の羅列で出来ているわけじゃないということを実感した。
水色にした単語のなかで特に印象的なのは、「時代」「現実」「感情」「ビル」あたりだろうか。あとは「蝉」だ。どう考えても『夏蝉』なのに笑った。
ちなみに品詞別の表もある。
東海道線なんて入ってる曲あったっけ!?と思ったら「12」だった。なるほど。
品詞別だと、どんな単語がアジカンの歌詞を構成しているのか、原材料が見える感じがして面白いなと思った。
Gotchのソロ曲の歌詞をテキストマイニング(31曲)
Gotchのソロ曲の抽出は、1st、2ndアルバムとネットで歌詞が分かった曲で行った。
2ndアルバムなど、英語詞の曲も日本語訳が分かるものは日本語にした。
ゴッチの曲の歌詞で多そうな語句予想10個は以下の通りだ。
僕 君 彼女 彼 花 歩く 失う 悲しみ 夜 光
では結果にいこう。
上記同様、黄色が予想10単語で、水色でマークしたのが、ぽいなと思った単語だ。
TOP10単語(Love以外日本語で)は「僕」「君」「Love」「ほら」「彼」「彼女」「見る」「いつか」「ねえ」「人生」だ。
頻出語句がアジカンとは、結構違っていて興味深い。全体的に、ソロという性質もあってか、歌詞の単語もどこかパーソナルな印象を受ける。
1位が「僕」なのも、へええ!と思った。アジカンやフジでは不動の「君」を越していたからだ。「Love」が2位というのはかなり意外だった。でも出されてみれば納得的なところもある。「愛」より「Love」のほうが、綴りやすいのだろうか。
「彼」「彼女」どちらも上位に並んで入っているのも面白い。これは、英語詞を訳したので抽出したからじゃないかなと見ている。
アジカンとゴッソロを比べてみて
アジカンの頻出語は、儚さもあるがどこか硬質というか輪郭がはっきりしているような印象を受ける。行動や動作も多く入っている。その一方で、海、波などから特に後半に自然の事象、雲、花、春、星、太陽などが入っているのが、なんか嬉しくなる。あとこちらには「愛」が入っているのも印象深い。
対して、ソロ曲の歌詞は、柔らかさを持つ単語や情感がこめられた言葉という感覚があった。人間味があるというか。より社会や日常と接続している感じがあるというか。
テキストマイニングをやってみて、自分が曲に対し持つイメージはどのくらい歌詞に引っ張られているのか、なんとなく分かって面白かった。
こういう言葉が並んでいるから馴染むし、好きなんだろうな~と己を顧みる機会にもなった。
歌詞は曲のひとつの要素であり、ある側面でしかないと思っている。その一方で、歌詞が好きだとそのバンドの他の曲も好きになれる傾向が強い実感もある。メロディだけ好みだと、そこから広げないパターンは結構あるのだ。だからこそ、歌詞が好きなとっておきの曲があるのは嬉しい。
もうひとたび、楽曲をちゃんと聴いてみようと思ったのであった。
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