フジファブリックの聖地巡礼! 初沖縄で”動物団地”の旅

これは、フジファブリックがロケを行った場所のひとつ、沖縄の"動物団地"を目指そうとした旅の記録である。

2019年9月の半ば、私は初めて沖縄を訪れた。
まだまだ暑さ残る頃で、服装は半袖と薄手のズボンだった記憶がある。湿気があり、歩くと汗が出るような気候で、曇り空のイメージが強い滞在だった。
そんななか起きた、特に思い出深い出来事を綴ってみようと思う。

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初の沖縄旅行

沖縄旅行に必需品と言っても過言ではないのが自動車だ。観光する場所にもよるだろうが、今回、私たちはガイドブックを読みあさった結果、レンタカーを利用することになった。
ちなみに旅のメンバーは、私(近所オンリー走行ドライバー)と友人(ゴールデンペーパードライバー)である。率直に言って不安でいっぱいだった。レンタカーを借りることすら初めてである。

ところで、今まで観光してきて得た、こんな教訓がある。
それは、予定を詰め込みすぎず、ゆったりとした時間設定を考えるということだった。たいてい遅刻、遅延等々、不測の事態が起きてバタバタするのである。
それを考慮して立てた、ゆとりある行程のおかげか、レンタカー店に着いたとき、時間に余裕ができていた。

実は、私には、ひそかにどうしても行きたい場所があった。時間的に寄れそうな位置にあったので、私は友達に懇願してみた。すると「いいよー」という軽やかな言葉が返ってきたのだった。
そして私たちは"動物団地"へ向かったのである。

聖地"動物団地"とは?

なぜ動物団地に行きたかったのか。
ロックバンドのフジファブリックが、2009年にこの地で撮影を行っていたからである。その様子は『FAB BOOK』という本で見ることができる。
この動物団地、どんなところかといえば、団地の建物に動物のイラストが描かれているという場所だ。どちらかというとリアルな描写で、建物短辺の側面へ2階分にわたり描かれている。けっこうでかい。フジファブリックの本で確認できる限りでは、ゾウやキリン、トナカイがいた。その絵の下でフジのメンバーが並んでいたり、建物のそばにあるブランコに乗って楽しそうに笑っていたのだ。
せっかく沖縄へ来たのだから、同じ建物の前で、同じポーズをして写真を撮りたい。いわゆるファンの聖地巡礼である。
友人は、ジャンルは違えど、いっぱしのオタクだったので、気持ちを即座に分かってくれたのだった。

泣きっ面に蜂、しくじりに小雨

まずは私が運転することになった。
レンタカー店で補償プランも十分につけ、いざ出発である。
"動物団地"の場所は、ネットで事前に調べていた。車のナビに入力し、助手席の友人にもスマホのナビを立ち上げてもらった。2台体制にして出発である。

私は運転に自信がなかった。ゴールデンペーパー状態よりは経験がある、という程度だ。
ナビに案内されつつ、曲がる場所を間違えてちょいちょい迷いつつ、なんとか目的地付近に来た。
ここで問題が発生する。
目的地が対向車線の向こう側なのである。
私は右折が苦手だ。とても苦手だ。信号じゃない場所で曲がることができない。信号もなく、対向車線では車がビュンビュン通ってるところでなんて無理だった。片側1車線だし、後続車がいるし、全部無理だった。仕方なく、そのまま直進する。どこかでUターンするか曲がって道を戻らなければ、と汗がにじんだ。
曲がれる場所もないまま、Uターンなんぞできるわけもなく、わけの分からん急激な坂をのぼらされる。目的地から10分ほど離れ途方に暮れた頃、なんとか左折することができた。ごちゃごちゃした道に入ってしまい、暗澹たる気持ちになる。歩行者を気にしつつ、のろのろと車を走らせ、左折を繰り返し、ようやく信号で右折することができた。
ちょっと泣きそうになっていた。

辿り着いた目的地

車を駐車し、ほっと息をつく。雨がバタバタと降りはじめた。
動物団地へ歩く途中で少し雨脚が弱くなる。団地へ入る頃には小雨になっていた。人気のない静閑な建物の間を歩く。
キョロキョロ見渡し、ゾウ、キリン、トナカイを探すが、どこにもいない。描いてあるのは、ライオン、マンモス、ワニなどだった。困惑した。全部の棟を見て回ったが目当ての動物が1匹もいない。心なしか絵のタッチも違う気がする。もしかして描き直されてしまったのだろうか。本の撮影は10年前だし。
頭がぐるぐるした。事前に撮ってきたフジ本の写真を見てみる。写真と現地では、建物の後ろの景色が違う感じがする。嫌な予感がしてきた。必死でネットを検索する。

絶句した。
なんと動物団地は、沖縄県に2箇所あったのだ。そんなの聞いてない。崩れ落ちそうになった。

道に迷ったこともあって、時間は結構押していた。観光したい施設の閉館時間も気になる。
しかし、ここまで来たのに、諦めるのが悔しかった。
本来の場所を調べたところ、行きたい観光地のついでに寄れそうなことが分かる。友人に打診してみると「行こうよ!」と笑って背中を押してくれた。理解がありすぎる。
「おまえは本当に良いやつだなあ」などと言いながら車に乗り込んだ。
この頃には、車にも慣れて運転はだいぶスムーズになっていた。

聖地"動物団地"!

友人になぐさめてもらいながら、車を走らせる。
2箇所目の動物団地近くには、大きなスーパーがあった。

観光といえばスーパーだ。自宅から遠い場所ほど、見たことのない商品が売っていて面白いという持論がある。全国区ではない店舗は、とりわけ特色が出る。
ということで、スーパーの駐車場に車をとめ、先に買い物をすることにした。
目論み通り、沖縄のスーパーには、はじめて見るものが色々売っていて新鮮な気分を抱いた。例えば、お菓子コーナーに黒糖がたくさん並んでいる。黒糖入りのお菓子とかではなく、黒糖そのものだ。チョコみたいに齧って食べるのが正解なのだろうか。
黒糖、さんぴん茶のティーパック、コンビーフハッシュ、今までの人生で見たことのないお菓子の袋などをカゴに放り込み、ほくほくした気持ちで会計を済ませた。友人も楽しげにお菓子を買い込んでいた。
ショッピングで沈んだテンションを上げ、車に荷物を置き、いよいよ念願の動物団地(聖地)である。

ドキドキしながら建物に近寄ると、何度も写真で見た動物たちが建物に描かれていた。
これだ! と浮き足立って駆け寄った。
フジの写真と見比べる。全く一緒だ。いや、少し絵が薄くなっているか。
彼らが遊んでいたブランコは封鎖されてしまっていた。これも年月の経過だなあ、としみじみ思う。
住民の方に邪魔にならないよう、誰もいないタイミングを見計らって、フジのメンバーが立っていた場所に近寄った。写真と見比べながら、同じポーズをして、友人に撮影してもらう。
10年前、志村くんがこの場所に立っていたんだと思うと、なんだかとても感慨深かった。

いつの間にか雨は止んでいた。
ぷらぷらと満足するまであたりを散策し、友達と写真を撮りあったり、談笑したりしながら、動物団地をあとにする。
振り返ってみれば色んなことがあったが、楽しい旅だった。

その後、数々の小さな不幸が重なった結果、初沖縄のお土産が、スーパーで買ったお菓子と食材のみになった話は、またの機会に書こうと思う。

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