人生に迷ったとき『詩羽のいる街』という小説を

『詩羽のいる街』(山本 弘、角川書店、2008年)という面白い小説がある。物語とはいえ、そうかあ、こういう生き方もあるんだと、目から鱗が落ちる作品だと思った。鱗が落ちた後、心に爽やかな風が吹く。

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簡単なあらすじ

簡単に紹介してみよう。
詩羽(しいは)という女の子が端々に登場するお話だ。語られる視点はそれ以外の登場人物からである。
詩羽はかれこれ数年間、お金を持たず軽やかに街を歩き過ごしているのである。人と人を繋ぐ才能を持つ彼女と登場人物の暮らしは、読めば読むほどワクワクしてくる。ヒリヒリするような場面もあり、そして伏線がよく効いていて、とても楽しく読める1冊だ。

詩羽に見せてもらった色んな生き方

多くの人は、この現代社会で生きていくには、お金を稼がなければならないと思っているだろう。そして、お金を稼ぐためには就職するか、バイトするかクライアントを見つけるか? が現実的と感じているのではないだろうか。

実は、他にも色んな生き方がある。そのひとつの可能性を垣間見ることの出来る物語なのだ。
詩羽は人に親切にすることを生業としている。その様子がとても面白い。読後、詩羽みたいな存在が自分の街にもいたらなあ、出会うことが出来たらなあと心底思った。でもその前に、自分の出来ることを見つけなきゃ、得意なこと好きなことを磨かなきゃとも思わされた。

色々本を読んでいると、たまに内容が惹かれ合うことがあって面白いのも、読書の醍醐味だ。

同じテーマを持った作品を同時期に観たこと、その2 文字の羅列がもつ魔力
『絶対小説』『熱帯』という物語を同時期に読んだ話を書きました。この文章は、文の羅列の魔力にとらわれる人間が綴っています。

『詩羽のいる街』を読む前は、『ナリワイをつくる』(伊藤洋志、東京書籍、2012)という本を読んだ。この本でも、会社勤めだけじゃない生計の立て方を提示している。

さて、小説の感想に戻るが、上記の通り随所の伏線がうまく効いていて、ここがそう来てこうなるのね、ははあ! と面白かったのだ。物語に引き込まれて一気に読んでしまった。この小説の中には他の作品が出てくるのだが、いくつか読んでみたいものがあったので、また見てみようと思う。ちなみに『詩羽のいる街』を知ったのは、有川さんのエッセイ『倒れるときは前のめり ふたたび』(有川ひろ、KADOKAWA、2019年)で紹介されていたことがきっかけだった。こうやって読書が繋がっていくのもまた一興なのだ。

『詩羽のいる街』は、いつのまにか勝手に狭めていた生き方を広げてくれた物語だ。お話としても、もちろん面白かった。

山本 弘 (著), 徒花 スクモ (イラスト)

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