なぜひとつのツアーに何度も行くのか分かった夜

私は、私の柱であるとしたバンドのツアーが発表されたら、行けるだけ行こうと日程を考えはじめる人間である。内容が同じなのに、何度もそのツアーに行くの?と言われることがある。その答えを今日、思い出した。

簡単なことだった。そもそも同じライブではないのだ。
以前「ツアー、どれに行こうか?」という記事を書いた。何というか、あれは理論上というか、机上の話なのだ、と思った。確かに書いたように日程を決めていくが、実際、ツアーに突入した今、実感しているのはまさに、同じライブはこの世に存在しない、ということである。それは、時間が不可逆であるように、過去には戻れないように、同じ日は訪れないように、歴然とした事実なのである。
これを実感したのは、今行われているフジファブリックLIVE TOUR 2019 "FEVERMAN"に何回か赴いたからである。(以下、曲名のネタバレは書いていない)
もう、びっくりした。公演を重ねるごとにフジファブリックはどんどん進化していくのである。アレンジがライブに特化していく曲もある。オーディエンスにより寄り添い、その曲が最強の形で魅力を発揮していくようになる。その変化の度合いが、フジファブリックはズバ抜けていると思う。そして、彼らは今までの経験したことに対する吸収率も異常だと思う。(特に山内総一郎)
そしてバンドを観るたびに、目に分かるほど進化している、というのは並大抵のことではないとすごく思う。変わらざるおえなかった日々は、彼らを強くしなやかに柔軟かつ逞しくしたのだと感じる。一方で、フジファブリックはフジファブリックが大好き、という軸はぶれないので、いつだって一本芯が通っている。

例えセットリストがどの公演も同じであったとしても、ライブを経るごとに変化していくことが分かるのは、めちゃめちゃ面白いのだ。
このバンド自体の進化も加え、オーディエンスが育っていくのも興味深い。もちろん、何公演も行く人ばかりではないし、ツアーは色んなところを回るので、その土地の人々が集まるわけだ。だからこそ会場によって雰囲気が違ってくるし、奇跡のような夜も訪れる。
ただ、言いたいのは、新しい曲たちへ反応、雰囲気がどんどん良くなっていくなかで、曲に浸るのは楽しいということだ。初日は特にそのアーティストのライブが久々だったりするとお互い探り探りな部分があったりする。まあ、初日は初日でどの曲をやるか全く未知なので、イントロでの反応が新鮮でめちゃめちゃ良かったりするのだが。さて、それが最終日には壮観な光景が広がる。その新曲たちが完全に受け入れられた感じになるのが面白い。

同じライブはこの世に存在しない。バンドの状態、スタッフの状態、客の状態、会場の状態、世界の状態、時間が過ぎ去る限り、ひとつとして同じものは存在しない。それは漫然と過ごしているこの日常も同じなのだけれど、だからこそ、ライブという特別な時間の違いは、より一層明確に際立って見えるのだ。

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