眠れない夜に聴きたいBUMP OF CHICKEN〜夜明かし編~

前回は「眠れない夜に聴きたいBUMP OF CHICKEN〜安眠編~」という話を書いた。
今回は逆だ。
どうしても眠れない。そんなときはもう諦めて、BUMP OF CHICKENの曲をひたすら聴こう。唄を受けて何を思うのか、自分はその曲をどう捉えるのか、そんなことを一晩中考えてみよう。そんな夜があってもいい。

2004年発売『ユグドラシル』
「ギルド」
この曲ほど、日々生きているなかで歌詞を思い出す楽曲もないと思う。
だからこそ、あえて眠れない夜のお供を願おうじゃないか。
歌詞の全部がまるで自分のことのようで、切実な思いがせり上がってくる曲だ。なぜ藤原基央は、この思いを知っているのだろうか。人々に愛され、愉快な仲間に囲まれ、素晴らしい音楽を生み出すことのできる彼は。端から見れば、人間が欲しいと思うものほぼ全てを得ているように見える彼は、なぜこの苦しい思いを知っているのだろうか。BUMPの曲を聴いて、度々感じることでもある。「才悩人応援歌」なんかもそうだ。なんで、あなたが、こっち側の気持ちを知っているんだ。そんなことを考えてしまうのである。そりゃあ、人間色々あるだろうけども。夜はどうも思考が転げ落ちてゆく。ちなみに「ギルド」のMVがめちゃめちゃ好きだ。

2014年発売『RAY』
「ラストワン」
聴くと、寝てる場合じゃない! みたいな気分になる曲だ。切実、焦燥、変化、決意、そんな感情を覚える歌だ。でも、ポジティブというわけでもないけど、この前向きなパワーは、けっこう心地よい。イントロからかっこいい。歌詞と声の温度が胸を打つ。この曲を聴くと、ツアーWILLPOLIS 2014がブワッと蘇ってくる。心に熱がこもる。サビのボーカルと楽器の音の動きが最高だ。間奏も、これぞBUMPみたいなグッとくるポイントが多い。やっぱり寝てる場合じゃないって気分になるな、この曲。

2019年発売予定『aurora arc』
「Spica」
PATHFINDERツアーが、あの空気が、あの世界が、目の前にあるような気分になる。初めて聴いたとき、藤くんがギターで弾き語ってくれたこの曲が、こういう形でまた会えるとは思ってもみなかった。PATHFINDERツアーの開演SEを彷彿とさせるイントロ、サビの心掴まれる歌詞、どれをとっても本当に良い曲だ。最後の言葉になんだか凄く泣けてしまう。
この曲は、「私」と「BUMP」のことだと思った。それは、今これを書く「私」だけではなく、この画面の向こうにいる「君」である「私」のことでもあるのだろう。歌詞に書かれる肯定は、確実に何かを救ってくれた。だからBUMP OF CHICKENが好きなんだと思った。この楽曲をこの音源の形で、目の前で聴ける日を心底楽しみにしている。その時間を想像すると目が冴えに冴えるだろう。

音楽を言葉だけで表現するのは非常に難しい。BUMPの曲は特に難しい。
歌詞に言及するとき、ついつい藤原基央の存在を念頭に置いてしまうが、きっとそれよりも、それぞれが好きなように受け取って欲しいと思っているんじゃないか、とかごちゃごちゃ考えてしまう。そんな色んな思いたちすら、どこかしらで受け止めてくれる度量の広さと懐の深さを持っているのが、彼らの曲じゃないかと思うのだ。何度聴いても、ふとした瞬間に、ああそういうことか! と、自分なりの腑に落ちる解釈を得ることがある。目が醒めるような体験が、BUMPの曲にはある。そうこうしているうちに、夜は明けるのだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました