皆こぞって言っているが、十二国記という面白い物語がある。
最近何かと話題なのは、十何年ぶりに待ちに待った新作が出版されたからだ。さて、そんなこんなで、私は新刊を迎えるべく、十二国記シリーズの最初から読み返すことにした。さわりの説明は「三大ファンタジー小説、記憶を消してもう一度」にも書いたとおりだ。
以下、ネタバレをなるべく避けつつ書きたいと思う。
そもそも"ファンタジー"って
ふと思ったがファンタジーと表現すると子供の読むもの、みたいな印象があるのだろうか。そもそも子供が面白いと思うものを大人が読んで面白くない、と思うことは全然ないと言いたいが、この十二国記はひたすらに面白い。
確かにストーリーは大変しんどいし、出てくる漢字も難しいけど(読み仮名が付いてるから大丈夫)、やはり記憶を消してこの読後感をもう一度味わいと思うほど興奮する作品だ。
ではその一作目『月の影 影の海』(小野不由美著、文庫版2012年、新潮社)を読み返した今の感想をネタバレはなるべく避けつつ綴ろう。
『月の影 影の海』の感想
『月の影 影の海』の上下巻が目の前にある。耳元で、一度手に取ったら全てをほっぽり出して最後までお前は読むぞ、と声がする。そしてその通りになっている。一度読み出したら、主人公である陽子の行く末が気になって、読む手は止まらなくなるのだ。
読みはじめた読者は陽子と一緒に情報を飲み込んでいく。状況がまったくよく分からない状態から主人公も次第に色んな出来事を経て変化しいていく。そういう過程を見ていると、結末がわりとあっさりしていることに驚く。もっと読みたい、とすごく思う。
ただ、この終わり方非常に格好いい。物語の冒頭で起こったことが最後にも関わってくるのは大好物なのである。それもはじめだからこそ意味も分からなくて得体の知れなかったものが、主人公を通して冒険してきたことによって意味のある言葉として響くというのは本当に心に刺さりすぎるのだ。
ああ、本当に面白かった。さあ、次の作品だ。
『白銀の墟 玄の月』までの道を楽しんでいこう。
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