キノボリくんは思う。誰かと旅に行くのも楽しいだろう。
でも、ひとりのほうが“旅”という言葉がしっくりくるのは、なんなのだろう。
ひとりで知らない土地をぷらぷら歩くのは存外楽しい。
朝、起きてホテルで朝食をとりながら、今日はどうしようかなあと、のんびり考える。部屋に戻り、荷造りを済ませ、ベッドでダラダラしながら行き先を思案する。お供がいないというのはある意味気が楽だ。旅の行程に気負いはなく、全てが自分の思い通りに動くことが出来る。思いつきで出立できる。東京はなんでもあるから、どこに行こうかもその日の気分によってまったく変わってくるのだ。趣味の古本屋巡りをしても良いし、商店街に、博物館、美術館に行ってみてもいい。
古本屋といえば、そういえばずっと神保町に行ってみたいと思っていたのだった。ということで行き先が決まる。古書店街、神保町だ。
東京のすごいところはいくつもあるだろうが、そのひとつに専門店街があるという点が思いつく。本を扱う店が密集している街があるというのはかなり羨ましい。人が多い分、専門化、先鋭化した店でも営めるのだろうか。
さて、そんなこんなで、地下鉄にのって神保町にやってきた。いくつか絶版になっている欲しい本もあったので、それを探しつつ気ままに散策することにした。
開店が昼頃からという店もあり、とりあえず入れる店に入ったり、大型書店に入ったりした。プッシュされている本のチョイスが良かった。
世界には本が溢れている、印字された文字を数にしたら、この世の星の数より多いんだろうか、なんてことを考えてしまうほど色んな本が溢れていた。いくつかの嬉しい出会いもあり、目当ての絶版本は普通になかったけど、非常に楽しい時間を過ごした(ただ、あったとしても高価がつけられている気がして仕方なかった)。
気の向くままに散策していると、お腹が減ってきた。神保町といえばカレーだろう。ということで有名な店に入ってチキンカレーを注文した。そして、注文した後に気づいた。そういえばホテルの朝食バイキングでもカレー食べたわ。
付け合わせに蒸かしたジャガイモまるごと2個でてきたのが面白かった。バターを塗りたくって塩を振り、頬張る。皮を剥くとすぐ冷めてしまうことを知った。カレーはとても美味しかった。ただ、来た瞬間にご飯減らして貰えるか聞けば良かったと後悔した。案の定、敗北し、しかし美味しかったなあと思いながら、また本の街に繰り出した。途中ボードゲームの店を覗いたりと、地元では出会えないものを見たりした。
そして、せっかくなので、帰路で読む本を買おうと、旅を主題にショートショートが書かれた文庫本を購入した。
あの本の銀河のなかには、私の探していた本もあったのかなあと思いながら、東京駅に向かったのであった。
【今日の曲】
the chef cooks me「流転する世界」『回転体』(2013年)
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