今まで散々短い曲は名曲が多いという話をしてきた。
・スピッツの夢にいる『醒めない』
・究極の好きな1曲がある話〜ニコ、サカナクション、和田唱、100s〜
・究極の好きな1曲がある話〜androp、ハイロウズ、ロストエイジ、黒木渚〜
今回は、このことについて真っ正面から書いてみようと思う。ここに書いたそれぞれのアーティストの曲を聴いたことがなかったら、試しに聴いてみて欲しい。あなたの3分以内を少しだけくれないか。
2007年発売『orbital period』BUMP OF CHICKEN
「flyby」(1:56)
BUMPのオリジナルアルバムでは、表紙と裏表紙のように、対になるような曲が冒頭と末尾におかれることがある。『THE LIVING DEAD』『ユグドラシル』、前ふたつよりは性質が薄い気がするが『COSMONAUT』もそうかといえばそうか。
この『orbital period』では、「voyager」「flyby」である。その一方で、この2曲はそれぞれ1曲として見事に成立しているのがひとつのポイントだ。
「flyby」のバンドサウンドが入ってくるところは、いつも鳥肌が立つ。締めにふさわしい、格好良く切実でどこか寂しい、BUMPらしい素敵な曲なのだ。
2002年発売『崩壊アンプリファー』ASIAN KUNG-FU GENERATION
「羅針盤」(2:33)
この曲には、ロックなアジカンが詰まっていると思う。どこか暑苦しい感じも好ましい。これぞロックンロールだと思う。初期の曲であり、根強い人気があるため、ファン投票でも10位以内に食い込んできた。短い曲ながら構成の変化もあり、途中に出てくるベースが格好いい。最後のサビに入っていく過程では胸が熱くなる。個人的に歌詞に合わせて客席を指さすゴッチの姿が好きだ。
ちなみに大名盤『サーフブンガクカマクラ』は、3分以内の曲が半分をしめる大変おさまりのよいアルバムなのである。
2014年発売『LIFE』フジファブリック
「F.T.79」(1:41)
これ、インスト曲なのである(歌のない曲)。アコギで鳴らされるメロディにはどこか洗練された異国感、それこそヨーロッパの街並みを彷彿とするような、その一方で神聖な森を思い浮かべるような雰囲気が漂っている。聴いていて心地のよい1曲だ。ちなみにこのアルバムで後々出てくるハードな曲「efil」で、「F.T.79」が浄化の魔法みたいにかかる場面が大好きなのだ。
フジの短い他の名曲「MUSIC」(2:23)については「一緒に散歩したいフジファブリック〜日中編〜」、「Cheese Burger」(1:08)については「食べるときに聴きたいフジファブリック」に書いている。ちなみに今のところフジで1番短い曲は「Cheese Burger」だ。
ここまでくると、好きになった曲が短かったのか、短いから好きなのか、分からなくなってくる。短いからこそ、薄めたような部分も無駄な装飾もないような、必要なものがストンとそこにあるような様子をとても好ましく思っている。そして、そこには魅力がこれでもかと詰まっているのだ。
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