くるり『ソングライン』と歩きたい道

以前、「特別な日常 くるり」という記事を書いた。現時点での最新アルバム『ソングライン』は、まさに特別な日常をくれる一枚だと思う。今日はこのアルバムについて綴っていく。

『ソングライン』はくるり12枚目のオリジナルアルバムである。初回盤を購入したのだが、普通のCDよりも1.5倍くらい大きい。紙ケースが7インチサイズだ。そして、「CDの話、形態と開封の儀」のなかに出てきたような、あけ口が一片なのでビニールを剥ぎ取らずに済むタイプなのが嬉しかった。このアルバムのジャケットも非常に素晴らしい色味だ。岸田くんのセルフライナーノーツ、解説も封入されており、これも読み応えがあった。ちなみにネットでも読むことが出来る。
初回盤には映像特典が付いている。2018年に行われたライブツアー「線」がまるまる収録されているのだ。選曲が良く、聴いていて、観ていて本当に心地が良かった。演者の表情にグッときたし、楽しそうな雰囲気がまたいいのだ。音も良い。ギターリフに聴き惚れる時間だった。余談だが、水平線Photo T-Shirtを岸田くんが着用しており、これがまあよく似合っていた。

さて本題に入ろう。『ソングライン』、私はこのアルバムが大好きだ。
私が受け取ったのは、『ソングライン』というアルバムは、「くるりがくるりと向き合ったアルバム」なのだなということだった。20年を経て世に放たれた曲もあるという。どの曲かは、読んでみてのお楽しみだろう。

このアルバムを聴いていると、心象風景が鮮やかに浮かび上がる感覚がある。個人的には休日の午前か、昼下がり、外は晴れ渡る穏やかな日和に聴きたくなる1枚だ。散歩しているときに聴くのも大変気分が良くなりそうである。どこか郷愁を感じる手触りがあり、一方で「Tokyo OP」のように意欲的な一面もみせてくれる。
私が特に好きなのは「ソングライン」、「風は野を越え」、「だいじなこと」、「忘れないように」だ。

オリジナルアルバムで好きな曲とは?~フジファブリック編~」に書いた文面だが、表題曲、つまりアルバムと同じ名前の楽曲は得てして名曲が多い。「ソングライン」もしかりだ。プルタブをぷしゅっと開ける音からはじまるメロディは心にしみじみと鳴り響く。間奏の「ボレロ」からの歌うようなスライドギターはいつ聴いても鳥肌が立つ。連綿と続く音楽の系譜が流れる様の一端を垣間見られる気がした。

「風は野を越え」については、自分が好きになったのが意外だった。あまりスローテンポな曲を好まない傾向を自覚しているのだが、それでもこの曲には心を掴まれたのだ。どこか気怠げで物憂げな雰囲気、美しい詩、しかし暗い曲などという表現は決してそぐわない、暖かな光が秘められた楽曲だと感じた。電気の点けてない室内の暗がりから、ふかふかのソファに深く腰掛け、青い空と流れる雲を見ている気分になるのだ。

「だいじなこと」、「忘れないように」はドンピシャで好きな曲である。「だいじなこと」は短い曲だがまさに濃縮果汁120%みたいな曲だと思う。くるりの可愛らしさ、素敵さ、明るさが十二分に満ちる楽曲だ。
「忘れないように」は、音の運びが最高だと思う。岸田くんの描く風景はどうしてこんなに心に鳴り響くのだろう。決して早くないマイペースなテンポに気持ちが軽くなる。

『ソングライン』というアルバムは、私の過ごしたい日常を思い浮かべさせてくれたような気がするのだ。このアルバムを聴いたときに滲み出た自分の感情は、日々大切にしていきたいものに他ならなかったのである。

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