『MOTHER2 ギーグの逆襲』とは、1994年に任天堂から発売されたRPGゲームのことである。魔法でファンタジーというよりは、日常の延長上にあるような世界観が特徴だと思う。(とはいえ、超能力を使ったり、不思議な現象が起こったりはする)
フジファブリックのファンなら
フジファブリックのファンなら、「総くんのギターの赤色」でピンとくるのではないだろうか。そう、山内総一郎が大好きなゲームとしてよくあげているのが『MOTHER2』であり、パッケージが印象的な赤色なのである。なんと総くんは、子供のときBGMに歌をつけたくらい好きらしい。確か「砂漠のテーマ」をあげていたと思う。
今までのゲーム経験と名作は時を超える話
さて、私は、そもそもゲームをあまりやらない。1年に1回やるかやらないかくらいだ。とはいえ、今までやってきたゲームといえば、色違いが欲しくてひたすら卵を孵したり、必ず僕らは出会ったり、異議あり! と叫んだり、山寺宏一劇場だったり、黒い任天堂の名作、そんなゲームたちだった。それなりにゲームには馴染んでいたし、3DSも持っていたので、バーチャルコンソールで、MOTHER2を購入した。今思うと、1,000円にもみたない価格で、こんなにも心に残る体験ができたことに驚いている。
これはそんな私が『MOTHER2』をプレイした話である。この程度のゲーム経験レベルでもすごく楽しめたよ、という内容だ。なおかつ、名作とは時を超越するものなんだな、と思い知った体験でもある。
なぜ、『MOTHER2』をやろうと思ったのか。もとからずっと名作と聞いており気になっていた。というのと、やはり総くんの話を聞いてという部分が大きい。買ったきっかけは長時間1人で移動するので暇つぶしのためだった。
『MOTHER2』の最高な部分
『MOTHER2』の舞台はわりと現代だ。車が走っているし街も現代的で、遭遇する敵も日常生活に出てくる者たちをモチーフにしている。私にとってはこれがかなり新鮮だった。
そして、ストーリーの良さもさることながら、BGMもとても良い。
私が『MOTHER2』で何よりも好きな場面は、砂漠を抜けて、フォーサイドという『MOTHER2』のなかでも最大の街に入る「前」なのだ。
大変だった砂漠を抜け、トンネルをくぐる。そのトンネルではUFOが登場しそうな少し不穏めいたBGMが流れている。そこを抜けると長い橋と青い海に出る。この場面から流れるBGMが最高なのだ。タイトルは「フォーサイドのテーマ / 摩天楼に抱かれて」。巨大な都市へ向かう前の高揚感、一方ですこし気怠い感じ、旅をして歩いている雰囲気が全部詰め込まれていて、本当に大好きな瞬間なのだ。このシーンに出会っただけでも、『MOTHER2』をやっていて良かったな、と思った。本当に何の変哲もない一場面だけれど。この面の良い点のひとつに、敵が出てこないところというのもある。登場するのはマジックバタフライという、パワーを回復してくれるありがたいチョウチョだけだ。雰囲気に全力で浸り、大都市へと突入する。
他にも好きな場所やBGMがたくさんあった。ダンジョン男なんか最高だった。音楽好きにはふふっとなるネタも仕込まれている。サウンドトラックを買ってしまうほど、私は『MOTHER2』の世界に惚れ込んだ。
また、このゲームは余白、あるいは考える余地のあるところも良かった。例えば、メンバーが減って行動するとき、初めてこの組み合わせになったこの子たちはどんな会話をしているんだろう、なんて考えるのが楽しかった。
3DS版だと、セーブがいつでもでき、難易度が下がった状態で遊べたおかげか、なんとかクリアもできた。
もっと小さい頃にやりたかった、とは思ったものの、今、ちゃんとこの世界観を知られて良かったとも思う。
主人公との冒険は、どこかで私のいる世界と接続している気がしたのだ。
これからも、心ではフォーサイドに向かう橋を歩く気持ちを描き続けていたいと思う。
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