倉橋ヨエコの明るい世界

ある日、素晴らしい動画に出会った。その動画を私は狂ったように何度も何度も観ていた。そこで流れていた良い曲がクセになって何回も聴いた。それが倉橋ヨエコの『ままごと』だったのだ。

私は基本的に明るい曲を好む傾向がある。そして自分のなかにある倉橋ヨエコのイメージは、夜だ。暗さや情念みたいなものを強く感じるからだろうか。ただ、夜といっても漆黒ではなく、夜の街に煌めくジャズバーとかそんな感じだ。
だからこそ、逆に、倉橋ヨエコ珠玉の明るい曲たちを紹介しようと思う。この文章は、いつもどおりBUMP、アジカン、フジが好きなやつのおすすめ曲という視点からお送りする。

2002年発売『婦人用』
「ラブレター」
歌の後ろで鳴る跳ねるようなピアノが可愛らしい1曲だ。日常生活に馴染む幸せの描写がうまいなあ、と思う。メロディが好き。あと、声の重なりがとても気持ちよい曲だ。

2003年『モダンガール』
「お人形」
テンポ感と独特な歌詞がクセになる1曲。曲調の穏やかさに反して、ふつふつと感じる闇がこの楽曲の魅力をグッと伝えてくる。伸びやかな声は心地よく、やはり転がるピアノの音は可愛らしい。

2005年発売『ただいま』
「卵とじ」
全部可愛い。お弁当が食べたくなる曲だ。この感情と日常の所作のバランスがとてもうまいなあ、と思う。卵とじを食べたくなる。

2007年発売『いろいろ』
「あいあい」
とてもカラフルな曲だと思う。口ずさみたくなるような軽やかなメロディ、その一方で実際結構ずっしりくる感情が表現されている対比が面白い。

今回紹介した楽曲たちはヨエコさんのほんの一面でしかない。明るい部分を抽出した感じだ。ヨエコさんもまた記名性の高い音楽家だと思う。そして人々に宿る暗さを鮮やかに描写しているところは、フジファブリックに通ずるものがあると思う。フジの志村くんが作るドロッとした曲、ダークな曲、ヘンテコな曲が好きな人は、ヨエコさんを聴いてみると面白いことになりそうだ、なんて思っている。
唯一無二の声と音楽観でぱっと聴いてヨエコさんだ、と分かるのはすごいと聴くたびに思う。

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