フェスに行こう! 音楽フェスの話

今まで、
ライブハウス編
ホール編
アリーナ・ドーム・スタジアム編
と会場の話を書いてきた。ワンマンを前提に書いてきたので、その流れでいくと、次はフェスだな! と思ったのだ。だから今回は、フェスについて綴る。

ここで書くフェスとは、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(以下RIJF)、COUNTDOWN JAPAN(以下CDJ)、RADIO CRAZY(以下レディクレ)、JAPAN JAMなどの大型フェスについてだ。ひとくちにフェスと言っても、近年本当に色んな形態がある。夏フェス(RIJF)春フェス(JAPAN JAM)など季節ごとや、年末フェス(CDJ、レディクレ)、はたまたアーティスト主催のフェス(アジカンのNANO-MUGEN FES.など)、蒲郡で行われる「森、道、市場」(おしゃれな雑貨や移動本屋などの市場とライブが融合して二度美味しいフェス)など、趣向を凝らした催しがたくさん行われている。

フェスの良いところは、本当に色んな人が集うところだ。ワンマン公演だと、会場が狭いほどファンの純度が高くなりがちで、初めて聴きに行く、という人は及び腰になってしまうかもしれない。その点フェスに来る人の目当ては大抵ひとつではないし、基本浮かれているので、結構いるだけで楽しいと思う。音楽を聴くのがちょっとでも好きならなおさらだ。

さて、まずは入場の仕方を書く。大きなフェスの場合、入り口でチケットをリストバンドに替えてもらう。それを腕につけると、会場内を自由に歩けるのだ。大きなフェスは、いくつかのエリアに分かれており、そこにステージがひとつずつあるイメージだ。タイムテーブルという出演者の時間割とにらめっこして、聴いて回る行程を自分で組むのだ。ここで注意が必要なのは、休む時間や移動時間に余裕を持って考えることである。フェスはワンマンライブとは違って長丁場だ。だいたい朝10~11時くらいに開場し、その1時間後くらいからアーティストが登場しはじめる。終わるのは夜8時~9時くらいだ。

フェスは何よりも自由度が高い。どこで聴いても良く、邪魔にならなければ、寝転がって音楽を聴くこともできる。最近は食べ物にも力を入れているところが多く、各地のグルメを味わうこともできる。また、普段、ワンマン公演だと整理番号が良くなければ、なかなか前の方で聴くことはできない。しかしフェスの場合、トリやよほど人の集まる出演者でなければ、ひとつふたつ前の時間からその場で楽しんでいれば、アーティストの入れ替わり時に徐々に前へ行くことができるのだ。
そして、フェスの醍醐味と言えば、サウンドチェックだ。本番の前に音響をチェックしたり、楽器の調整をするために、アーティスト本人たちが登場することがある。私がそれを知ったのは、初めてレディクレへ行ったときのことだった。昼過ぎ、次はBase Ball Bear が登場するタイミングで、サウンドチェックがはじまった。妙に演奏が上手いローディーさん(楽器の管理をする人)だな、歌も上手すぎない?と思ったら、本人たちだった、ということがあった。あの日、聴いた「GIRL FRIEND」は忘れられない。トリの前々、前前々までくらいの出番だと、本人たちが出てきて曲やセッションをやってくれることがあるので、目当てのバンドが始まる前の時間に行くのがおすすめだ。

具体的なフェスの思い出を書くと、JAPAN JAMが印象深い。このフェスは野外で行われるのだが、環境が最高だ。だいたい5月頃に行われるので、季候がとても良いことが多い。人工芝の広がるステージがあり、そこで寝っ転がってぼんやり青空を眺めながら聴く音楽は格別だった。

フェスに行ったことがないという人におすすめなのは、ロッキング・オン社主催のフェスだ。長年、フェスを主催しているので、環境や導線、システムがかなり整っていて快適なのだ。特にCDJとJAPAN JAMは過ごしやすかった。ちなみに、日本最大級の邦楽フェスであるRIJFは、真夏かつ野外なので結構過酷だ。
CDJは幕張メッセで行われるが、本当に過ごしやすくて最高だった。年末フェスなので真冬だが、全体的に室内なのでパーカー1枚羽織っていれば十分だったりする。大阪のレディクレは、ステージエリア移動で、屋外に出なければならないときがあるので、かなり寒かったりするのだ。どのフェスに行くか決める話についてはこちらに書いたので、読んでもらえると嬉しい。

フェスで好きな音楽に出会えた、好きを深められた経験をたくさんしてきた。フェスはワンマンへの足がかりでもある。生演奏を聴いて、ああ、いいな、と思ったら、ついついそのバンドのワンマン公演がないか検索してしまう。そこで弾かれた音が、空気を振動して届く、というのは本当に大きなことだと思う。

そして、色んな会場で見てきた光景は、今でも脳裏に焼き付いている。霧雨のむこうでキラキラ輝く観覧車を眺めながらアジカンの「Wonder Future」を聴いたフジソニック。晴天に飛行機雲が横切り「こんなことある?」と嬉しそうに笑って「深呼吸」を歌う永積くんを観た「森、道、市場」。時間の関係によって途中で帰らないといけなかった私の背中に響き渡るクロマニヨンズと暗い道を照らす電灯。

フェスにはフェスの良さがある。一日中音楽の鳴り響くお祭り騒ぎは、やはり特別なのだ。

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