ある一時期、楽器が弾けるようになりたい!と思ったことがあった。ずっと弦楽器に憧れていた。気づいたらヴァイオリンを購入していた。
これは音楽の素養がない人間が、大きくなってはじめてヴァイオリンを手にとり"フィドル"を習得しようとした記録である。
フィドルという楽器について
さて、"フィドル"という言葉を聞いたことがあるだろうか?
フィドルとは何かについて、『フィドルの本 : あるいは縁の下のヴァイオリン弾き』(著:茂木 健、1998年、音楽之友社) という本に分かりやすい記述がある。
一般に、クラシック音楽の世界で使われている楽器が「ヴァイオリン」と呼ばれ、英語圏のポピュラー音楽や民族音楽―アメリカのカントリーやフォーク、最近注目を集めているアイリッシュ・ミュージックなど―で使われている楽器が「フィドル」と呼ばれている。
茂木 健 、1998年、『フィドルの本 : あるいは縁の下のヴァイオリン弾き』 、 音楽之友社 、p.3
この書籍の中でも記されているが、つまり、「フィドル」と「ヴァイオリン」は同じ楽器を示している。同じ楽器なのに、弾く曲や奏法によって、違う名前になる、また「ヴァイオリニスト」と「フィドラー(フィドル奏者のこと)」は全く別物というのが興味深いな、と思う。
この辺の差異については、またの機会に書きたい。
フィドルを知るキッカケ
“フィドル”との出会いのきっかけは何があるのだろうか。試しに思いつくことを書いてみる。
映画
・『タイタニック』三等客室でのダンスシーンの軽快な音楽
・『パイレーツ・オブ・カリビアン』酒場での愉快な音楽
音楽
・ハンバートハンバート佐藤 良成さんのバイオリン(フィドル)
・無印良品の店内でかかっているBGM
・テレビのBGM
アイリッシュ音楽、ケルト音楽というキーワードからフィドルに辿り着いたパターンは、けっこう多いのではないだろうか。
例えばBUMP OF CHICKENの楽曲にも、アイリッシュの匂いがする曲がある。(「車輪の唄」や「Merry Christmas」)。こういう雰囲気の曲をもっと聴いてみたいな、という思いから検索するというような、身近な部分から興味を持つ場合が、往々にしてあるんだろうな、と思う。
これは自分がフィドルを知ったきっかけでもある。
フィドルに惹かれ、弾こうと思うまで
冒頭に書いたとおり、ずっと弦楽器に憧れを持っていた。でもクラシック音楽にはそれほど興味はなかった。曲を聴くことはあるが、弾きたいとは思わなかったのだ。また、弦楽器は高そう、難しそうというイメージも持っていた。それでも、気づいたらバイオリン*を購入していたのは、フィドルという存在を知ったからだった。
調べていって知ったフィドルのイメージは、以下のようであった。
安い楽器でもよく(~5万ほどでも購入が可能)、明確に決まった弾き方もなく、そして民衆に根ざした音楽、なによりも軽快で楽しい曲調の印象が強く、楽曲たちがとても好み。
クラシック音楽の荘厳さ緻密さ(全てがそうではないではないだろうが)に対して、その範囲の緩さにも惹かれたのだった。
(*以降、普段の記事は「ヴァイオリン」ではなく、馴染みのある「バイオリン」の表記で書きます)
このフィドル習得体験記を綴る人間の前提
最後に、どんな人間が経験したことを書いていくかについて記しておく。
大人になってから、フィドルを弾ける人間になりたいと思い、勢いでバイオリンを購入した人間である。幼少からバイオリンを弾いていたなんて経験は、もちろんなく、1からのスタートである。そもそもフィドルがバイオリンの別名ということも、好きになってから知ったくらいである。
“楽譜も読めなかった音楽素人”が頑張るお話だ。とはいえ、ドレミくらいは時間をかければ分かる程度である。楽譜にはカタカナでドレミを書いておきたいし、音符のリズムもあまりよく理解していない。ぴかぴかの初心者だ。
それでも、ある日聴いたフィドルの愉快さと素敵さが忘れられず、ああいう音楽を自分で奏でられるようになってみたい、と一念発起した次第なのである。
結局、フィドルを弾くためにレッスンへ通いはじめてから、半年程度で拙いながらも2曲、短い曲を弾けるようになった。
独学か、教えを乞うか散々悩んだことなど、未経験の楽器をどう習得していくかの過程を、今後綴れたらと思っている。
第2回目
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