前回の記事「胃カメラ体験記」でチラリと「くるり」というワードが出てきた。それで思い出した。まだ「くるり」のことを書いていないではないか。ということで、 今回のテーマが決定した。
くるりは私にとって、ようやく辿り着けた境地なのである。
言い換えれば、私がくるりを好きになることが出来たのは、色々な音楽を大好きになり、興味の裾野が広がり、耳が肥えたからとも思うのだ。
くるりはストレートに一発で心に刺さる曲もあれば、聴いているとじわじわ良い曲だなあ、と染み渡る曲もある。変な曲もあれば、可愛い曲もあれば、心にどっしりのってくる曲もある。くるりもまた、アルバムごとに全く違った面を見せてくれるバンドだと思う。
くるりを聴いていると、日々が輝く気がする。電車の中で聴く「赤い電車」、晴れた日に聴く「ソングライン」、お風呂のなかで聴く「水中モーター」。まだまだ聴き足りない部分もあるので、どんどん聴いていきたいアーティストだ。
個人的におすすめの曲をあげていこうと思う。
1曲目、2002年発売『THE WORLD IS MINE』より「THANK YOU MY GIRL」。この曲は2005年発売の『ベスト オブ くるり Tower Of Music Lover 』にも収録されている。
「THANK YOU MY GIRL」、なんというか、1,000,000点満点だ。短めの曲なのだが、こんなに心に残るなんて、こんなに大好きな気持ちが溢れるなんて、と思う曲である。短いからこそ、だろうか。聴くと晴れ晴れとした楽しい気持ちと、ギュッとした気持ちが押し寄せる。満点、という言葉がしっくりくる。サビの冒頭が、歌詞見るとそんなこと言ってる!?と思ったのも良い思い出だ。90%サビみたいな構成も最高だ。永遠に聴いていたい。
2曲目、2007年発売『ワルツを踊れ Tanz Walzer』から「スラヴ SLAV」。音楽体験のベースにクラシック音楽があるのがよく分かる名盤からの1曲である。揺らぎのあるメロディから、夕べを味わうようなしみじみとしたメロディ、そこから跳ねて踊り出すようなメロディに動くところが楽しくて仕方がない。民衆が愉快そうにステップを踏むような景色が脳裏に浮かぶ。聴いていると異国にいるような気持ちになれる曲だ。いろんなエッセンスが入っていると思う。岸田くんの声も聴いているとクセになる。良い。
3曲目、4曲目は『魂のゆくえ』から「つらいことばかり」と表題曲「魂のゆくえ」だ。このアルバム自体、ジャケットから何から何まで大好きな1枚なのだが、なかでも聴き狂ったのがこの2曲だ。「つらいことばかり」は聴くと本当に元気が出る。元気が出るのだが、聴きすぎて「つらいことばかりだね」が口癖になりそうだったので一時聴くのを封印した曲だ。でも聴きたくなるので度々聴いている。鍵盤のメロディが本当に素敵な雰囲気を醸しだし、岸田くんと女性の歌声が見事に響き渡っている。めちゃめちゃ良い曲なので、日々疲れている人に是非聴いて欲しい。癒やされる。
そして「魂のゆくえ」。歌詞もメロディも満点、最高得点のような1曲だ。この曲を聴いたときの心象風景は、我ながらうっとりするほど美しい世界なのだ。透き通った空のしたに花は咲き乱れ、穏やかな光が注ぎ、ゆるやかな風が吹き渡る。ベースラインも良いし、やはりピアノも素敵だし、歌も泣けてくる。この曲に出会えて良かったと心底思う。ライブでやって欲しい。聴きたい。くるりの真っ直ぐな曲は、私の琴線にこうも触れてくるのだ。色鮮やかに音が重ねられているのに、アウトロはシンプルで、岸田くんの声と楽器になるのも、なんだかとても泣けてくる。
今回は、本当にめちゃめちゃ好きで何度も何度も、聴き狂った曲について書いた。まだ「ジュビリー」の話もしていなければ、「pray」も「glory days」も書いていない。やはりまだまだ書き足りない。新しく出たアルバムの『ソングライン』もめちゃめちゃ良かった。今度行く、くるりのツアーが楽しみで仕方ない。
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