胃カメラ体験記

占いを見るのが結構好きだ。良いことは信じて悪いことは気をつけよう、と心にとめる。まあ、5分後には忘れているんだけど。でも、その年はなんだかずっと頭の中に残っている占いの結果があったのだ。「健康に注意」だ。
健康診断では毎回バリウムをやらされるのだが、これがしんどい。変な液体(バリウム)を飲まされるのだが、これは人体にいれるべきモノではないと私の身体が拒否する。オエッとなるのを必死にこらえながら飲み干さなければならない苦行である。
これ以上の苦行があることを、このときの私は知るよしもなかった。

1ヶ月ほど経つと健康診断の結果が返ってくる。診断は1~5の結果で表わされ、1は問題なし、5は再検査だ。毎年1だった私は完全に油断していたんだと思う。
結果を見る。沈黙。撃沈。乾いた笑いが漏れる。「5(再検査)」ではないか!
バリウム検査で引っかかったのだ。胃にポリープがあるということだった。もうすごい嫌な気持ちだ。健康体でもないけど、悪いとこもない、そんな風に生きてきたのに。絶対ストレスだ、と思った。
胃カメラの検査をしなければならない、という通知が入っていたので、腕の良い医者について調べはじめた。下手くそだと、ただでさえ辛い検査がめっちゃ辛い、というようなことをどこかで見たからだ。目星はつけたが、予約の電話を入れるのが億劫でずるずると先延ばしにしていた。だが、繁忙期がだんだん近づいてきたので、観念して休めるうちに予約をしたのだった。
嫌だなあ嫌だなあと思っているうちに胃カメラの日になる。鼻にシュッとスプレーをかけられたり、ジェルを流し込まれたりし、喉が風邪のときみたいな飲み込みづらい違和感が出てくる。横たわって待っていると、先生が登場する。くるりの岸田くんに似ているというだけで、私はその先生を信用していた。
胃カメラがいれられてゆく。先生に「ちょっと緊張してるね」と言われる。喉のところを通るときが辛くて辛くて、ヴオエッと嘔吐いた。胃がひっくり返るかと思った。その後は体内に何か入ってる感じと喉が痛い感じに耐える時間だ。涙目になりながら、自分の体内が映された画面を興味深く見る。意外と綺麗じゃね?と思ったりする。でも苦しい、痛みより苦しさがつらい。そしていよいよポリープが発見される。その一個だけだった。組織をとる。そしてゆっくりかつ迅速にカメラが体内から出される。出るときも、喉を通るときが一番痛かった。
その後、待合室にいく。診察を待っていると鼻がずびずびする。ティッシュをあてると鼻血が出ているではないか。ぼたぼたという感じではなく、ゆるやか〜にだったから、大丈夫なやつかと思った。のちのち一日止まらない事態になるとはこのとき、知るよしもないのであった。

ウン週間後、組織を検査した結果が返ってきて、説明を受けた。問題のないほっといても大丈夫なポリープとのことだった。よかった。

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