中村一義の『魂の本 ~中村全録~』(太田出版、2011年)を読んだ。
読みたてのうちに感想を綴っておこうと思う。
中村一義を知った経緯
そもそも中村一義(心のなかで"かっさん"と呼んでいるので以下かっさん)を聴くようになったのは100sがきっかけだった。100sを聴くようになったのはレキシからだ。芋づる式で中村一義に辿り着いたのである。そのため、池ちゃんや豊夢くんなどから語られるかっさんという視点で、なんとなく認識しているくらいだった。どういうバックボーンがあるのか、100sを組んだ経緯ですら、うっすらとしか知らなかったのだ。100sを聴くうちにどんどん曲に惹かれていった。そして、中村一義の音源も集めはじめたのだ。
本の簡単な紹介と感想
本を読みながら感じたのだが、映像作品を先に観ればよかったかもしれないと思った。実際に動いて歌い喋るかっさんを見とくべきだった、と過ったのだ。
個人的に書籍媒体は慣れ親しんでいるので、手を出すハードルが低いのだが、ミュージシャンの本を読むのってまあまあのファンがすることでは、とも思った。
ただ、『魂の本』、ははあ、そんな風に、とか、鳥肌が立つ場面もあって、興味深いという意味で非常に面白く読んだのである。また、本書に収録されている写真も良かった。おなじみの写真家、佐内 正史が撮影している。
本の中では、中村一義の生い立ち、音楽的な背景とミュージシャンになるまで、楽曲制作、100sのことなどがインタビュー形式で綴られている。出版が2011年なので、そのときまでの中村一義を深めることのできる1冊だ。『世界のフラワーロード』までの話が語られている。
特に幼少期のハードさには驚かされた。この人に音楽があってよかったと思った。今まで色んなミュージシャンの生い立ちなどが語られた書籍を読んできたが、一番ヘビーだった。洋楽のアーティストでなら、近い境遇の人もいそうなイメージもあるが、この人の音楽から受ける印象の分、静かに衝撃を受けた。そんなハードさを淡々と語り、文章化されていることもすごいなと思った。そしてやっぱり、この人に音楽があってよかったなあと思った。終盤には100sはもちろん、池ちゃんのエピソードも登場して楽しかった。
終盤の世界が繋がっていく様子には、なんて面白いんだ、とグッときた。これだから、本を読んで知るのをやめられないのだ。知らなくても、この曲たちは良い音楽だけど、知ったらもっと面白い。『魂の本』を読めて良かったなと思う。
いつかフラワーロードを歩いてみたい、というのが今の夢だ。
この本は、予約限定生産商品らしいので、気になる人は早めにチェックするのがおすすめだ。
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