前回はライブハウスの話をした。今回はそう、ホールだ。ロックバンドによっては、ホールツアーというものがあるのだ。
普段はクラシックや演劇が公演される場所で、ライブが行われる。その場合大抵、音響にこだわると思う。そしてホール公演ならではの演出が組まれる。これがまた、雰囲気が違って面白いのだ。今まで行ったことのあるホール会場としては、仙台サンプラザホール、思い出の東京国際フォーラム、中野サンプラザ、鎌倉芸術館、金沢市文化ホール、アクトシティ浜松大ホール、名古屋センチュリーホール、三重県文化会館、神戸こくさいホールなどなどだ。他にもまだまだ色んな会場の思い出がある。個々の会場については、またおいおい書いていきたい。
さて、会場にはそれぞれ違うベクトルで自由度があると思う。ライブハウスなら、どこで聴くかという場所の自由があるだろう(ある程度自身で選択が可能なのだ)。では、ホールの自由度とは何か。そう、指定席による時間の自由だ。ライブハウスでは整理番号順で入っていく、という話を前回書いたが、全席指定の場合は番号順の整列がない。開場前に徐々に列が形成され、並んだ順に入場できるというパターンが多いと思う。場所取り、という概念がないうえに、ある程度の荷物が持ち込めるので、とても気が楽なのだ。
なので、開演ギリギリに現地に辿り着くという場合も、ライブハウスやアリーナのスタンディングより気持ちが軽い。
そういうわけで、会場に着く時間をあまり気にしなくて良いのだが、早く会場へ入るメリットもある。
ひとつめ、女性の場合、開場前に入場列に並び、トイレに直行すれば、長蛇の列を回避できる可能性が高い。また、グッズを買っていなければグッズ列に並べる。会場内の何かの列に並ぶ予定のときは早く並ぶに限るのだ。
ふたつめ、座席が連なった真ん中あたりだと、そこに辿り着くまでが、人の足と前の座席の狭い隙間を通らないといけないので大変だ。早めに席に行けば、人にあまり気を遣わなくてすむ。
座席があると待ち時間がとても楽だ。スタンディングだと、入場が早ければ1時間立ちっぱなしということもザラだ。その時間にプラスして、公演中も立っているので、かなり足が疲れる。一方、指定席ならば、開演前、アンコール前は座れる(公演中は席があっても立っていることが多い。公演や出演者による。座りたい人は座って全然良いと思う)。
そして自分のスペースを確保できる。ライブハウスの最前エリアにいると、メンバーが登場したとき、往々にしてギュッと圧縮し、こんなん人間のいられる空間じゃねえ!となることがあるが、ホールの前方なんて最高だ。自分の空間がありつつも演奏している空気感を間近でじっくり味わえる。これは運次第ではあるが(というか整理番号も座席も運なのだ。日頃から徳を積まねば、と思う)。
ホールのなかでも思い出深いのは、アクトシティ浜松大ホールだ。浜松といえばヤマハのお膝元で、音楽の街を打ち出しているような土地だ。そのホールではよくクラシックの公演が行われている。そんなところで聴いたアジカンは格別だった。広い縦長の空間のなか、客の拍手は空から降ってくるような万雷の拍手で、なんだかとても印象に残っているのだ。
ライブの記憶は会場とともに残ることが多い。その日が何でもない日でも、会場を通りがかると、ふっと記憶がよみがえる。そうやって、私は自分の一部をその場所に置いて来るかわりに、何かをもらってきたのだろう、と思う。
次回は、アリーナ・ドーム・スタジアム編だ。
コメント