令和最初の今日一ソングと、音楽が景色と結びつく話

いかがお過ごしだろうか。今、非常に不思議な気分である。
令和でもどうぞよろしく。

さて、今回のテーマは「今日一ソング」である。「きょういち」と読む。これは何か、といえば、ある日何気なく聴いていた曲がめちゃめちゃ心に響く瞬間がある。これを「今日一ソング」と呼ぶのである。ようは、今日一番の曲、ということだ。
その日の体調、そのときの自分がおかれた状況、天気、気温、時間、感情、色んなものが要因となって、おそらく「今日一ソング」は決まる。これが不思議なことに、自分でも明確な基準が分からない。特別好きだとは思っていなかった曲でも、たまたまシャッフルで流れてきて、心底良い曲だ! と思うときがあるのだ。
ある日突然、その曲のことが「分かった」ような気がするときもある。歌詞の解釈、真意、みたいなものに自分なりに辿り着いた感覚とでもいうのだろうか。本質が分かったような気になり、世界が分かったような気になる、というと危なっかしいが、清々しく晴れやかな気持ちなる。こういう気分がもたらされるだけでも、音楽を聴く意味はあると思う。

そのとき目にした光景と曲が結びつくこともある。人生のBGMとして史上最高にぴったりはまった瞬間だ。
自身の例をあげる。伊勢から帰るバスに乗車していたときのことだった。旅行の帰路で、すでに外は日が沈み暗くなっている。同行した友人たちが疲れて寝静まっているなか、私はふと目を覚ました。なんとなくカーテンの隙間から窓を眺めると、そこには息をのむほど美しい工場街の光が瞬いていた。規則正しく等間隔に並ぶ街灯は、遠くまで広がっている。私はiPodを取り出し、イヤホンを耳に差し込んだ。選んだ曲はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ナイトダイビング」。今でもこの曲を聴くと、あの日見た光景が鮮やかに心に広がるのだ。

例えば、BUMP OF CHICKENの「東京賛歌」。イヤホンで音楽を聴きながら、深夜のサービスエリアを歩いている。ふと見上げると驚くほど星が煌めいていた。そのときに流れていたのがこの曲だったのだ。BUMPの歌は星空がよく似合う。別に東京で聴いていたわけでもないのだが、この曲を聴くたびに満天の星空を思い出す。

例えば、ある寒い冬の朝、山あいの町を歩いているとき。空気は澄んでいて、景色が、色がいつもよりくっきり見えた。日差しは穏やかで暖かく、年始だというのに背中は少し汗ばむほどだった。その町には、近くに川底まで見える綺麗な川が流れている。そんな景色を眺めながら聴いたフジファブリックの「透明」。この曲を聴くたびに、町の穏やかな冬の空気とか、透き通ってゆったり流れる川とか、そんな光景を思い出す。
一方で、「オリジナルアルバムで好きな曲とは?~フジファブリック編~」に書いたように、涼しい風の吹く夏の海を眺めている場面によく似合う曲だとも思うのだ。「良い曲」というのは広い、と思う。

さあ、今日の「今日一ソング」はなんだろう。いつだって、音楽は人生のそばにいてくれるのである。

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