アジカン所縁の地巡り~「君という花」と断崖絶壁~

あれは、よく晴れた冬の日のことだった。
私は友人と横浜市金沢区に来ていた。前日はCOUNTDOWN JAPANという年末フェスで音楽聴き納めをしてきたのである(フェスの説明についてはこちらを参照)。なんとこの年のCDJは、レキシにフォノにフジにくるりにアジカンという、私の妄想みたいなタイムテーブルだったのだ。なかでもレキシの「風の谷のナウシカ」はずっと心に残り続けている。どのバンドにも興奮して、本当にこの年のCDJは最高だった。そんな余韻に浸りながら、千葉から神奈川へと移動した。

さて、なぜ我々は、金沢区は並木中央駅にいるのか。
アジカンMV所縁の地巡りをするためである。楽曲「君という花」に、この地がたくさん登場するのだ。また、映像作品集1巻のメイキングでメンバーが座っていたベンチもある(正しくは2巻のインタビューでゴッチが、である。今はベンチが新しくなっていると思われる)。彼らが踊り狂っていた桟橋は、今はもう立ち入り禁止になっているものの、周辺の景色は変わらず、そこに広がっていた。清々しいほどに晴れた青空、生活感と均質が混在した団地。そしてその側のふなだまりに映る建物の景色は、とても美しかった。

桟橋を楽しんだあと、次の撮影地、「階段」へ向かおうと歩き出した。マップで調べつつ歩いていると、なにか食べたくなってきた。近辺を検索してみると、ショッピングモールがあったので、そこへ向かうことにする。施設に着くと目を惹く自動販売機があった。黄色のボディに丸く緑色の文字。そこには「湘南クッキー」と書かれていた。第一印象は、「ダサっ、最高じゃん」であった。これが私と「湘南クッキー」の運命の出会いだったのだが、このことについては「あれは運命だった〜湘南クッキーと株式会社おいしい〜」に書いたので、もしよければ読んでみて欲しい。

さて、団地から「階段」へ向かう途中、イオンに寄り、クッキーとの運命の出会いを果たした私たちは、京急富岡駅に到着する。事前にネットで調べた情報によると、アジカンの駆けあがった「階段」は、線路近くの坂の上にあるらしい。
さて、困った。
駅を挟んで両側に道がある。急な坂と緩い坂だ。友人と私は二手に分かれて坂をのぼることにした。私は緩やかな坂を選んだ。てくてく坂を歩いてしばらくすると、友人から連絡があった。どうやら「階段」を見つけたらしい。私は来た道を引き返し、急な坂をのぼるのが面倒くさくて「この道の先で線路を渡りそっちへ行く」と伝えた。この判断によって、あんな目に遭うことになるとは、このときは知るよしもない。

さて、なんとか友人のいる場所へ向かおうとしたのだが、「階段」の方向へ行くと学校のようなところに迷い込んでしまった。ふっと、友人のいる方角へ目を向けると、なんとそこは、20mくらいの断崖絶壁だったのだ。まさに壁であり、その上部に住宅地があった。普通に生きてきて、断崖絶壁を見上げる機会なんてある? どうなってんだ、横浜。

観念し、マップを検索すると、大回りして「階段」まで行く道と、来た道を戻るルートが出た。自信を喪失していた私は、しょんぼりスゴスゴと来た道を引き返すことにした。15分くらい歩くと、駅についた。そして、その横にのびる急な坂をのぼり、5分も経たないうちに「階段」に到着したのだった。

おしまい

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